●お持ち帰り専門のパイ専門店
3ヶ月前からパイ専門店の経営者さんから相談を受けています。
まだオープン前ですが、前職の時からアドバイスをさせていただいている方です。
はじめての開業ではないので、じっくり時間をかけて準備をやってらっしゃいます。
商品開発をはじめてからすでに半年以上、3ヶ月前に私のところに相談にやってきました。
知り合ってもう約10年近くになります、だから私の考え方や、やり方をよく知っています。
食べ物商売はおいしいは当たり前で、めちゃめちゃおいしいものを作らなければ、お客様は喜んでくれない。
だから商品開発は絶対に妥協してはならない!ということをよく理解しています。
にしても9ヶ月も経っていますので、時間がかかりすぎじゃないですか?とは言いましたが…
今回は商品開発の段階からのご相談です。
試作を持って行くので、意見が欲しいとのことでしたので来訪前に私からいくつかお願いをしました。
・当日焼いたパイを持ってきてください。
・当日に私が指定したお店のパイを買ってきてください。
私が指定したパイは、すでに人気の有名店のものです。
その理由は、商品開発の段階で自分の作ったものを何度も食べ続けていると、本人は正確な判断が出来なくなるんですね。
試行錯誤して改良していくわけですから、だんだんとおいしくなってきますよね。
そうすると、自己満足しちゃう時があるんです。
よし!完成だ!と思った商品は、本人の中ではスゴくおいしいとなっているわけですが。
没頭するあまり、周りが見えなくなっていることがあります。
誰が食べても本当にスゴくおいしいのかな?
だから、すでにおいしいと言われている有名店の商品と比較して確認するのです。
私自身もその方が、的確な感想を言えますからね。
当日は私と本人、今回はもう1人当店のスタッフにも食べ比べをして意見をもらいました。
商品の日持ちを確認すると、2日ということだったので、2日目の状態も確認する必要があります。
だから2日分用意してもらいました。
大きな差が出たのは2日目でした。
2日目もサクサクって!やっぱり人気店は商品力があるなと思いました。
人気店の商品と比較する時の注意ポイント
・製造日は同じ日
・保存しておく状態も完全に同じにする
(紙袋とケーキ用の箱など違う状態で保存しない)
・交互に何度も食べ比べる
(口の中をリセットしてから。食べる順番で味の感じ方は変わるもの)
全て同じ状態・状況で比較することが重要です。
お客様に選ばれるためには、商品力はとても重要になって来ますからね。
まぁここまでは、商品の食感や味だけのことです。
この部分でいうと課題有りという結果で、本人も実感していました。
食べ比べてよくわかったと思います。
売れている商品のレベルはやはり高いです。
●ここからが私の得意とするところ
価格設定・販売方法・パッケージ・見せ方・売り方・製造工程などを聞いてのアドバイスです。
当日に聞いたことは
・ビジョン
フランチャイズ展開をして本部経営をしたい
・価格設定
ダメだと思ったのでなぜこの価格なのか
・売上設定
この単価で目標とする月商は
・パッケージ
私には〇〇に見えるがなぜこうしたのか?
・見せ方
イメージ画像を見せてもらいました
・売り方
あまり深く考えていないようでした
・製造に関して
ん…問題大有り
価格設定については、先に商品を作ってから、見た目の感覚で決めたということでした。
ではなぜその商品スタイルにしたのか?1個のサイズがスゴく小さかったのです。
いろいろ聞きましたが、結局自分の売りたいものを形にしたのかな?と感じました。
問題は、この自分の売りたい商品は、どこまで計算された売りたいなのかということです。
商売として、その単価で売上は取れるのか?
1つが小さいということは、それだけ手間がかかるということ。
コスト・利益などが計算された商品なのか?
これは?あれは?ではこの場合は?など質問してみると、「あぁこれではだめですね…」という答えでした。
商品の見た目などにこだわったのはスゴく伝わってきました。
でも、そこばかりに気を取られ、その先のことを考えていないようでした。
●アドバイスしたこと
まずは引き続き、商品の改良が必要だと思いませんか?ということ。
そして、現状の商品では目標の売上を達成するのは厳しいのでは?ということ。
なぜなら単価が低すぎて、何個売れば達成できるの?って感じだったので。
目標月商を達成するためには、1日平均売上は?
日商を達成すには何個販売すればいいの?を計算してみてください。
1個いくらで販売したいのかを決めて、その価格でお客様が欲しくなる商品を作る方がいいのでは?とお伝えました。
見せ方は、商品の形状が変わるかもしれないのでまた後日に。
売り方と製造手順に関しては、全くと言っていいほど手つかずの状態でした。
なぜ?なぜ?それ必要?と疑問がたくさんあったので
・この工程は後でも大丈夫じゃないですか?
・こうすると効率上がりますよ
・こうすることでロスが減りますね
・それは要らなくないですか?
・それよりこの方がお客様は喜びません?
・こうすることで売れている商品だけ作ることが可能ですよ
などなど、改善できそうなことをお伝えしました。
そして、フランチャイズ展開をしたいということでしたので、実際にFC本部を経営している立場からの意見として
「その設定した月商でその利益率では誰もやらないと思いますよ。夢がないですよねそれでは。」ということ。
商品を買うお客様と同じで、そのシステムに魅力がないとフランチャイズ加盟希望者は来ないですからね。
まだまだやることは山積みですが、本人はイキイキしてたのでよかったです。
まぁ結局は、やるやらないは本人次第なので、次回どこまでどうなっているのか待つことに。
実はこのパイ屋さんの相談を受けてから、いいアドバイスができるようにパイ屋さんを回っています。
おかげでパイにハマってマイブームです。
今まで気づかなかったけど、パイっておいしいね。
このパイ屋さんのことは、またお知らせします。